白河市での求職状況は?求人状況を解説
白河市はみちのくの玄関口として、首都圏へのアクセスや県内外への交通の利便性が高いのが特徴です。そんな白河市は、民間のアンケート調査で、北海道と東北を含めた地域で、住みやすい自治体として福島県内最高の3位と評価されています。しかし、住みやすい白河市での生活と仕事を考える際に気になるのが、求職状況ではないでしょうか。
この記事では、白河市における求職状況と求人の特徴を詳しく解説します。
白河市とは
白河市は、歴史と文化が息づき、美しい自然環境に恵まれた高原都市です。長い歴史のなかで交通の要所として発展しており、首都圏や他の地域へのアクセスがよい立地ということもあり、交通の利便性が富んでいます。
また、清流が豊富な地域であり、肥沃な大地で美味しいお米や野菜が生産されているのも特徴です。美しい自然環境が広がり、スキーやゴルフ、キャンプなど、四季折々の自然の中でアクティビティを楽しめるでしょう。
白河市の仕事
白河市では首都圏のような専門性やキャリアを活かせる大企業が多くありませんが、地域経済を支える企業が多数存在します。市内では、工業を基幹的産業として、農業や商業など多様な産業を展開し発展しています。
白河市の有効求人倍率
令和5年8月のハローワーク白河の有効求人倍率は1.29倍であり、前月に比べて0.14ポイント減少しました。この数字は、求職者と求人のバランスを示す指標で、1.0倍を基準として、それよりも倍率が高いと求職者よりも求人が多いことを意味します。
たとえば、有効求人倍率が1.29倍の場合、求職者1人あたり1.29件の仕事がある状態となり、求職者にとって仕事を見つけやすい状況といえるでしょう。逆に、有効求人倍率が0.5倍の場合、求職者が求人数を上回る状態となり、仕事を見つけにくい状況です。
また、白河市の有効求人倍率は3か月連続で前年同月を下回っています。福島県内の有効求人倍率1.36倍と比較しても少ない印象がありますが、全国平均1.29倍と同等の水準です。
しかし、新規求人倍率は1.82倍です。前月1.88倍、前年同月1.92倍と比較して減少していますが、企業の新規採用が活発化しているといえるでしょう。そのため、求職者側としては企業や仕事の選択肢が多く、転職に有利な「売り手市場」の状況です。
求職者状況
白河市の新規求職者数は417人で、前月比約1.1%、対前年同月比約1.0%と増加傾向にあります。そのうち、中高年層は216人となり、前月比で約1.3%、対前年同月比で約1.1%増加しています。
また、月間有効求職者数は全数1,773人で、前月比で約1.0%、対前年同月比でも約1.1%わずかに増加しています。新規求職者数と月間有効求職者数がわずかですが増加傾向にあり、約半数は中高年層が占めています。
年代別求職者情報
求職者の年齢は、60〜64歳が最も多く男女合わせて256人、全体の約14.5%です。次いで65歳以上が195人で全体の約11.0%となり、60歳以上が451人で全体の約25.6%を占め、求職者の高齢化がみられます。
総務省統計局によると、65歳以上の高齢者の就業者数は2004年以降19年連続で増加し、2022年には912万人と過去最多となりました。就業者が多い要因として、年金だけでは足りない生活費や娯楽費などに補填となるものが必要だと、多くの高齢者が定年後にも働くことを希望しています。そのため、定年を迎えた60歳からの求職者が多くなっている要因といえるでしょう。
また、20〜54歳までの求職者状況を見てみると、男性よりも女性が多く、全体の約53.2%を占めています。
求人状況
白河市の平均月給は正社員が約24.8万円です。アルバイト・パートは約904円、派遣社員は1,182円が平均時給です。
令和4年度の福島県最低賃金は858円でしたが、令和5年10月1日より現行の額から42円引き上げて、1時間あたりの額が900円に改正されました。最低賃金は、原則として福島県内のすべての事業場で働く常用、臨時、パート、アルバイトなどのすべての労働者に適用されます。
最低賃金の引き上げにより、企業収益を継続的な賃上げにつなげ、労働分配率を上昇させ、総雇用所得を増加させる狙いがあります。また、最低賃金が上がることで、一人ひとりの収入が増加し、結果として消費が増え景気が回復していくと政府は予想しているのです。特に、派遣社員やアルバイト・パートなどの非正規労働者の賃金上昇が上がり、今よりも経済的に豊かになれば地域での消費にも還元されるでしょう。
主要産業別求人状況
新規求人の動向は、前年同月に比べて3.1%減少しています。しかし、増加している産業も少なくありません。具体的には、宿泊・飲食サービス業83.3%、建設業80.0%、医療福祉分野44.4%、卸売・小売業29.6%の求人数が増加している一方で、サービス業28.6%、製造業28.0%、運輸業・郵便業21.4%は減少しています。
宿泊・飲食サービス業の求人が83.3%も増加していることから、観光業や外食産業の復活が考えられます。新型コロナウイルスの影響が緩和され、旅行や外食を再び楽しむようになった可能性が高いでしょう。
また、宿泊・飲食サービス業は慢性的な人材不足が懸念されています。厚生労働省が公表している「令和4年版厚生労働白書」によると、少子高齢化に伴い、20歳から64歳までの現役世代の人口が2025年以降、減少が加速すると予測しています。
サービス業は私たちの生活に大きくかかわっており、高い需要がある一方で、現役世代人口の減少から雇いたくても雇えない状況に陥ってしまう可能性があるでしょう。特にコンビニエンスストアやファーストフード店などのサービス業では、非正規雇用(アルバイトやパート)が多く、非正規社員の待遇が正社員に比べて劣っているケースも少なくありません。そのため、賃金に見合わない労働を課せられ、福利厚生の面などから人材の定着がしづらい状況といえるでしょう。
雇用形態別求人数
白河市における求人は、雇用形態によって異なる傾向が見られます。
正社員の平均求人数は3,411件で、年々増加傾向にあり、2023年9月には平均を大きく上回っています。アルバイトやパートタイムの求人は平均で1,069件あり、2022年8月には平均を下回っていましたが、2023年9月には平均を上回りました。
派遣社員の平均求人数は855件で、2023年上半期は平均に達していましたが、最近はやや減少しており、2023年9月には平均と同等程度です。正社員の求人が増加し、アルバイト・パート求人も増えている一方、派遣労働者に関してはやや安定した状況といえます。
再就職を支援する制度
白河市は、再就職や転職を目指す方へ向けて再就職支援制度が提供されています。具体的には、求職者は月10万円の生活支援給付金を受け取ることが可能です。支援金は、生活費や必需品の購入、生計維持のサポートとして役立つでしょう。
また、制度を利用する求職者は、無料で職業訓練を受講できます。フリーランスや雇用保険の適用がなかった離職者の方も対象となり、新しい職業スキルや知識を獲得し、再就職や転職に備えられるでしょう。
主な訓練コースは、ビジネスパソコンやオフィスワークを学ぶ基礎科や、IT系コース、営業・販売・事務コース、医療事務コース、介護福祉コース、デザインコース、3次元CAD活用科やネイリスト養成科などがあります。
たとえば、IT系コースでは、情報技術(IT)分野に焦点を当て、ウェブアプリケーション開発やAndroidアプリケーション開発に関連するスキルとプログラミング能力を学べます。受講者は、ご自身の職業やキャリア目標に合ったコースを選び、スキルや知識を向上させられるでしょう。また、給付金の支給要件を満たさない場合でも、無料の職業訓練のみも受講可能です。
まとめ
白河市は交通の要所に位置しており、東北新幹線が通っているため、首都圏とのアクセスが便利です。そのため、都市部で働きつつ、白河市でののどかな生活を楽しむという選択も可能です。
しかし、市内の新規求人倍率は高く、希望の職種に就きやすいといえるでしょう。少子高齢化や産業の変化は、新たなチャレンジの機会を生むかもしれません。仕事を通じて地域の課題に取り組むことで、ご自身のスキルや経験を活かし、地域に貢献できるでしょう。